「薬剤師の経験をどう書けば伝わるんだろう…」そんな不安を抱えていませんか?
転職を考え始めたとき、多くの薬剤師が最初につまずくのが職務経歴書の作成です。
「調剤業務って、どの薬局でも同じようなことをしているのに、何を書けばいいの?」 「自己PRで『患者対応が得意』と書いても、ありきたりで響かない気がする…」 「書類選考で落ちたら、面接のチャンスすらもらえないのでは?」
こうした不安は、決してあなただけのものではありません。
しかし、**職務経歴書は「あなたの価値を正しく伝える営業資料」**です。同じ調剤経験でも、書き方次第で採用担当者の見る目は大きく変わります。
この記事では、採用側の視点を踏まえながら、薬剤師としての強みを最大限に引き出す職務経歴書の書き方を、具体的な例文とともに徹底解説します。最後まで読めば、自信を持って提出できる書類が完成するはずです。
職務経歴書と履歴書の違いを正しく理解しよう
まず押さえておきたいのが、履歴書と職務経歴書の役割の違いです。
履歴書=基本情報の一覧表
履歴書は、氏名・住所・学歴・資格といった客観的な事実を記載する公式文書です。フォーマットが決まっており、個性を出す余地はほとんどありません。
職務経歴書=あなたの「実績と強み」を伝える営業資料
一方、職務経歴書は**「どんな経験を積み、どんな成果を出し、何ができるのか」を具体的に伝える自由度の高い書類**です。
採用担当者が最も時間をかけて読むのは、この職務経歴書です。なぜなら、「この人を採用したら、うちの職場でどう活躍してくれるか?」を判断する材料になるからです。
ポイント:
- 履歴書=事実の羅列
- 職務経歴書=あなたの価値を伝えるストーリー
採用担当者は職務経歴書のどこを見ているのか?
書類選考を突破するには、採用担当者が何を求めているのかを理解することが不可欠です。
チェックポイント①:即戦力として期待できるか
調剤薬局や病院の採用担当者が最も知りたいのは、**「この人はうちの現場ですぐに働けるか?」**という点です。
- 処方箋の応需枚数や取り扱い診療科
- 在宅医療やかかりつけ薬剤師の経験
- 服薬指導や疑義照会の実績
こうした具体的な数字や経験内容が記載されていると、即戦力としてのイメージが湧きやすくなります。
チェックポイント②:コミュニケーション能力
薬剤師業務は、患者・医師・看護師・事務スタッフなど、多職種との連携が欠かせません。
「患者対応が丁寧」「チーム医療に貢献」といった抽象的な表現ではなく、**「具体的にどんな場面でどう対応したか」**を示すことで、説得力が生まれます。
チェックポイント③:学び続ける姿勢
医療は日々進化しています。採用担当者は、**「この人は新しい知識を学び続けられる人か?」**も見ています。
- 認定薬剤師の取得
- 勉強会や学会への参加実績
- 専門領域への取り組み
こうした情報があると、成長意欲のある薬剤師として評価されやすくなります。
薬剤師の職務経歴書に必ず入れるべき5つの項目
ここからは、実際に職務経歴書を書く際の具体的な構成を見ていきましょう。
①職務要約(冒頭の100字程度のまとめ)
職務経歴書の冒頭には、**あなたのキャリアを3〜4行でまとめた「職務要約」**を置きます。
これは「目次」のような役割を果たし、採用担当者が短時間で全体像をつかむための重要なパートです。
例文:
20XX年に薬剤師免許を取得後、調剤薬局にて5年間勤務。内科・整形外科を中心に月間約800枚の処方箋応需に従事し、服薬指導・疑義照会・在宅訪問業務を経験。かかりつけ薬剤師として患者満足度向上に貢献。現在は認定薬剤師取得を目指し、専門性を高めています。
ポイント:
- 経験年数、勤務先の業態、取り扱い診療科を明記
- 数字(処方箋枚数など)を入れて具体性を出す
- 現在の学びや目標も簡潔に触れる
②職務経歴(時系列で詳しく)
次に、これまでの勤務先ごとに、業務内容を詳しく記載します。
記載項目例:
- 勤務先名・所在地・業態
- 在籍期間
- 施設の規模(処方箋応需枚数、薬剤師数など)
- 主な業務内容
- 実績・成果
例文(調剤薬局勤務の場合):
■ 株式会社〇〇ファーマシー △△薬局(東京都渋谷区)
在籍期間: 20XX年4月〜現在(5年間)
施設概要: 処方箋応需枚数 月間約800枚 / 薬剤師5名体制
主な応需診療科: 内科、整形外科、皮膚科
業務内容:
- 処方箋受付・調剤・服薬指導・薬歴管理
- 疑義照会(月平均15件)
- かかりつけ薬剤師として患者約30名を担当
- 在宅訪問業務(月4〜5件、居宅療養管理指導)
- 後輩薬剤師への調剤指導・OJT担当
実績・成果:
- かかりつけ薬剤師の同意取得率を20%向上(20XX年度)
- 在宅訪問時に残薬整理を実施し、年間約50万円の医療費削減に貢献
- 患者満足度アンケートで「説明が分かりやすい」との評価を多数獲得
ポイント:
- 数字を使って規模感や成果を示す
- 「〜を担当」だけでなく、「どう貢献したか」まで書く
- 後輩指導やOJTの経験も立派な実績
③活かせる知識・スキル
ここでは、あなたが持つ専門知識やスキルを箇条書きで整理します。
例文:
- 調剤業務: 内科・整形外科を中心に幅広い処方箋に対応。一包化・麻薬調剤の経験あり。
- 服薬指導: 患者の理解度に合わせた説明を心がけ、アドヒアランス向上を意識。
- 在宅医療: 居宅療養管理指導の実施経験あり。医師・ケアマネージャーとの連携スキル。
- 疑義照会: 処方内容の確認や代替薬の提案を積極的に実施。医師との信頼関係構築。
- OA・システムスキル: 薬歴管理システム(Pharnes、MUSUBI等)の操作に習熟。
ポイント:
- 専門用語を適切に使い、プロフェッショナルな印象を出す
- システム名など具体名を入れると説得力アップ
④資格・免許
薬剤師免許はもちろん、認定資格や研修受講歴も記載しましょう。
例文:
- 薬剤師免許(20XX年取得)
- 認定実務実習指導薬剤師(20XX年取得)
- かかりつけ薬剤師研修修了(20XX年)
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師(取得予定:20XX年)
ポイント:
- 取得予定のものも記載してOK(学ぶ姿勢をアピール)
⑤自己PR(あなたの強みと志望動機をつなぐ)
最後に、「あなたはどんな薬剤師で、どんな貢献ができるのか」を簡潔にまとめます。
例文①(患者対応力を強みにする場合):
私の強みは、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な服薬指導です。現在の職場では、高齢者や多剤併用の患者が多く、「薬が多くて覚えられない」「副作用が心配」といった不安の声を日常的に伺います。そうした患者に対し、生活リズムに合わせた服用タイミングの提案や、お薬カレンダーの活用を勧めるなど、具体的な工夫を重ねてきました。その結果、かかりつけ薬剤師の同意取得率を前年比20%向上させることができました。
貴社では、地域密着型の薬局として在宅医療にも力を入れていると伺いました。これまでの経験を活かし、患者の生活を支える薬剤師として貢献したいと考えています。
例文②(チーム医療への貢献を強みにする場合):
私は、多職種連携の中で薬剤師としての価値を発揮することに強いやりがいを感じてきました。在宅訪問業務では、医師・訪問看護師・ケアマネージャーと密に情報共有を行い、患者の残薬整理や服薬状況の報告を通じて、安全な薬物療法をサポートしてきました。ある患者では、残薬の整理により年間約10万円の医療費削減につながり、ご家族からも感謝の言葉をいただきました。
貴院では、病棟薬剤師として医師や看護師と連携しながら、より専門的な薬物療法に携わることができると伺いました。チーム医療の一員として、患者の治療成果に貢献したいと考えています。
ポイント:
- 冒頭で「強み」を一言で示す
- 具体的なエピソードで裏付ける
- 最後に「応募先でどう活かすか」を明示
職務経歴書作成でよくある失敗例と改善策
ここでは、薬剤師が陥りがちなNG例とその改善策を紹介します。
失敗例①:「〜を担当しました」だけで終わっている
NG例:
調剤業務を担当しました。
改善例:
内科・整形外科を中心に月間約800枚の処方箋応需を担当。疑義照会を月平均15件実施し、処方ミスの防止に貢献しました。
ポイント: 「何をしたか」だけでなく、「どんな成果を出したか」まで書く。
失敗例②:抽象的な表現ばかり
NG例:
患者対応が得意です。丁寧な服薬指導を心がけています。
改善例:
高齢者や多剤併用患者に対し、生活リズムに合わせた服用タイミングを提案。お薬カレンダーの活用を勧めるなど、アドヒアランス向上に努めました。その結果、かかりつけ薬剤師の同意取得率を20%向上させました。
ポイント: 具体的なエピソードと数字で説得力を持たせる。
失敗例③:ネガティブな退職理由を書く
職務経歴書に「人間関係が悪かった」「給与が低かった」といったネガティブな理由を書く必要はありません。
むしろ、**「次のステージで何を実現したいか」**という前向きな表現に置き換えましょう。
改善例:
より専門性の高い病棟薬剤師業務に挑戦し、チーム医療の中で患者の治療成果に貢献したいと考え、転職を決意しました。
職務経歴書を仕上げる前の最終チェックリスト
提出前に、以下の項目を必ず確認しましょう。
✅ 内容の正確性
- 勤務先名、在籍期間、資格取得年月に誤りはないか?
- 数字(処方箋枚数、患者数など)は正確か?
✅ 読みやすさ
- 箇条書きや改行を使い、視覚的に読みやすくしているか?
- 専門用語は適切に使えているか?(過度に難しい表現は避ける)
✅ 誤字脱字
- 誤字脱字はないか?(特に「応需」を「応じる」と書いていないか?)
- 敬語の使い方は正しいか?
✅ 前向きなトーン
- ネガティブな表現を避け、前向きな姿勢が伝わるか?
- 「貢献したい」「活かしたい」といった意欲が感じられるか?
書類選考の準備ができたら、次は面接対策です。よく聞かれる質問を予習して、万全の状態で臨みましょう。
まとめ:職務経歴書は「あなたの価値を伝える最強のツール」
職務経歴書は、ただの書類ではありません。あなたのこれまでの努力と経験を、採用担当者に正しく伝えるための営業資料です。
今回ご紹介した内容を実践すれば、
✅ 採用担当者の目に留まる具体性のある職務経歴書が完成する
✅ 自分の強みを自信を持って伝えられるようになる
✅ 書類選考の通過率が上がり、面接のチャンスが広がる
「何を書けばいいか分からない」という不安は、正しい書き方を知らないだけです。
この記事を参考に、まずは一度、じっくりと自分のキャリアを振り返ってみてください。あなたの中には、必ず「伝えるべき価値」があります。
次のステップへ踏み出すための、最高の職務経歴書を作り上げましょう。
以上が、薬剤師向けの職務経歴書作成記事です。実用的で具体的な内容になるよう、例文やチェックリストを豊富に盛り込みました。ご確認ください!



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