転職面接で「何を聞かれるのか不安」と感じていませんか?
薬剤師として転職を考えているものの、「面接で何を聞かれるんだろう」「うまく答えられるか心配」と不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
調剤薬局、病院、ドラッグストア、企業――。働く場所が変わっても、面接で問われる本質は共通しています。それは「あなたがこの職場で活躍できる人材かどうか」という一点です。
この記事では、薬剤師の転職面接でよく聞かれる質問10選と、それぞれの回答例・ポイントを具体的に解説します。さらに、面接官に好印象を与える「逆質問」の作り方もご紹介。
この記事を読めば、面接当日に自信を持って臨むための準備が整います。
薬剤師の転職面接で押さえるべき基本姿勢
具体的な質問に入る前に、面接全体を通じて意識すべき基本姿勢を確認しておきましょう。
1. 「なぜこの職場を選んだのか」を明確に
面接官が最も知りたいのは、「あなたがなぜうちで働きたいのか」という志望動機です。給与や勤務地だけでなく、その職場ならではの魅力や、自分のキャリアビジョンとの接点を語れるようにしておきましょう。
2. 過去の経験を具体的に語る
「患者対応が得意です」と言うだけでは説得力に欠けます。「〇〇という場面で、△△のように対応した結果、患者さんから感謝された」といった具体的なエピソードを用意しておくことが重要です。
3. 前向きな姿勢を示す
転職理由がネガティブなものであっても、面接では「次の職場でどう成長したいか」にフォーカスして話すことが大切です。後ろ向きな発言は避け、未来志向の言葉を選びましょう。
【定番】薬剤師の転職面接でよく聞かれる質問10選と回答例
ここからは、実際の面接でよく聞かれる質問とその回答例を見ていきます。
質問1:「自己紹介をお願いします」
■ 面接官の意図
あなたの経歴やコミュニケーション能力、簡潔に要点をまとめる力を見ています。第一印象を決める重要な質問です。
■ 回答のポイント
- 氏名・現在の職場・経験年数を簡潔に述べる
- これまでの経験の中で特に力を入れてきたことを1〜2つ挙げる
- 応募先の職場に関連する強みをアピールする
- 1〜2分程度でまとめる
■ 回答例
「〇〇と申します。現在は△△調剤薬局で5年間勤務しており、在宅医療や服薬指導を中心に業務を行ってまいりました。特に高齢者への丁寧な説明と、医師や訪問看護師との連携に力を入れてきました。今後は、貴社のように地域医療に深く根ざした薬局で、より幅広い患者層に対応できる薬剤師として成長したいと考え、応募いたしました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
質問2:「なぜ薬剤師になったのですか?」
■ 面接官の意図
薬剤師という仕事への理解度と、職業に対する熱意を確認しています。
■ 回答のポイント
- きっかけとなったエピソードを具体的に語る
- 薬剤師という職業のどこに魅力を感じているかを伝える
- 現在もその思いが続いていることを示す
■ 回答例
「高校生の頃、祖母が複数の薬を服用していて副作用に悩んでいた際、かかりつけ薬剤師の方が丁寧に相談に乗ってくださり、症状が改善したことがきっかけです。薬の専門家として患者さんの生活を支えられる仕事に魅力を感じ、薬剤師を目指しました。実際に働く中で、患者さんから『ありがとう』と言われる瞬間にやりがいを感じており、今もその思いは変わっていません。」
質問3:「転職を考えた理由は何ですか?」
■ 面接官の意図
転職理由から、あなたの価値観や仕事への姿勢、そして「うちでも同じ理由で辞めるのでは?」という懸念がないかを見極めています。
■ 回答のポイント
- ネガティブな理由であっても、前向きな表現に変換する
- 「現職の不満」ではなく「次の職場で実現したいこと」を中心に語る
- 応募先でならその希望が叶うことを示す
■ NG例
「今の職場は人間関係が悪くて、残業も多いので辞めたいです。」
■ OK例
「現在の職場では調剤業務が中心ですが、今後はより深く患者さんと関わる在宅医療にチャレンジしたいと考えるようになりました。貴社は在宅医療に力を入れていると伺い、自分の目指すキャリアを実現できる環境だと感じ、応募いたしました。」
質問4:「当社(当薬局)を志望した理由を教えてください」
■ 面接官の意図
「本気でうちで働きたいのか」「企業研究をしているか」を確認しています。ここで具体性がないと、「どこでもいいのでは?」と思われてしまいます。
■ 回答のポイント
- 応募先の特徴(理念・事業内容・強み)に触れる
- 自分の経験や価値観との接点を示す
- 「ここでなければならない理由」を明確にする
■ 回答例
「貴社のホームページで『地域に寄り添い、患者一人ひとりに最適な医療を提供する』という理念を拝見し、強く共感いたしました。私自身、これまで在宅医療に携わる中で、患者さんの生活背景まで考えた服薬支援の重要性を実感してきました。貴社では多職種連携を積極的に行っていると伺い、自分の経験を活かしながら、さらにスキルアップできる環境だと考え、志望いたしました。」
質問5:「あなたの強みは何ですか?」
■ 面接官の意図
自己分析ができているか、そしてその強みが職場で活かせるかを見ています。
■ 回答のポイント
- 強みを1〜2つに絞る
- 具体的なエピソードで裏付ける
- 応募先の業務にどう活かせるかを伝える
■ 回答例
「私の強みは、患者さんの話を丁寧に聞き取り、信頼関係を築けることです。前職では、薬に不安を持つ高齢患者さんに対し、時間をかけて説明した結果、服薬アドヒアランスが向上し、医師からも評価いただきました。貴社でも、患者さん一人ひとりに寄り添った服薬指導を実践していきたいと考えています。」
質問6:「あなたの弱みは何ですか?」
■ 面接官の意図
自己認識の正確さと、弱みを克服しようとする姿勢があるかを見ています。
■ 回答のポイント
- 致命的な欠点は避ける(「時間にルーズ」「ミスが多い」など)
- 弱みを認識し、改善に努めていることを示す
- 前向きに締めくくる
■ 回答例
「私の弱みは、慎重すぎるあまり判断に時間がかかることです。ただ、これは裏を返せば『ミスを防ぐための確認を徹底している』ともいえます。最近では、優先順位をつけて効率的に業務を進めるよう意識しており、徐々に改善できていると感じています。」
質問7:「これまでで最も大変だった業務と、それをどう乗り越えたか教えてください」
■ 面接官の意図
困難への対処能力、問題解決力、そして成長意欲を確認しています。
■ 回答のポイント
- 具体的な状況を説明する
- 自分がどう行動したかを明確に述べる
- 結果と学びを伝える
■ 回答例
「新人の頃、処方箋の枚数が多い繁忙期に、調剤ミスを防ぎながらスピードを上げることに苦労しました。先輩薬剤師にアドバイスをもらい、業務の優先順位を整理し、ダブルチェックの仕組みを徹底することで、ミスを防ぎながら効率を上げることができました。この経験から、困ったときは一人で抱え込まず、チームで協力することの大切さを学びました。」
質問8:「5年後、10年後のキャリアビジョンを教えてください」
■ 面接官の意図
長期的に働く意欲があるか、成長意欲があるか、そしてそのビジョンが自社で実現可能かを見ています。
■ 回答のポイント
- 応募先で実現可能なキャリアを描く
- 具体的な目標を示す
- 成長意欲をアピールする
■ 回答例
「5年後には、在宅医療の現場で多職種と連携しながら患者さんを支えられる薬剤師になりたいと考えています。10年後には、後輩の育成にも携わり、地域医療に貢献できるチームを作る一員になりたいです。貴社では在宅医療や研修制度が充実していると伺っており、そのような環境で成長していきたいと考えています。」
質問9:「残業や休日出勤は可能ですか?」
■ 面接官の意図
勤務条件への適応力と、柔軟性があるかを確認しています。
■ 回答のポイント
- 柔軟に対応できる姿勢を示す
- ただし、無理な条件は正直に伝える
- 事前に勤務条件を確認しておく
■ 回答例
「業務上必要であれば、残業や休日出勤にも柔軟に対応いたします。ただ、事前に予定がわかる場合は、できるだけ早めにお知らせいただけると助かります。長期的に貢献できるよう、体調管理にも気をつけながら働きたいと考えています。」
質問10:「他にも選考を受けている企業はありますか?」
■ 面接官の意図
転職活動の本気度と、自社への志望度を確認しています。
■ 回答のポイント
- 正直に答える(嘘はNG)
- ただし、応募先への志望度が高いことを伝える
- 他社の社名は伏せてもOK
■ 回答例
「はい、他にも数社選考を受けております。ただ、貴社は在宅医療への取り組みや、患者さん一人ひとりに向き合う姿勢に強く共感しており、第一志望として考えています。ぜひ貴社で働きたいという思いが強いです。」
【重要】逆質問で差をつける!好印象を与える質問例
面接の最後に必ずと言っていいほど聞かれるのが、「何か質問はありますか?」という逆質問です。
「特にありません」と答えるのはNG。逆質問は、あなたの意欲や関心の高さをアピールできる絶好のチャンスです。
逆質問のポイント
- 調べればわかることは聞かない(給与、休日など基本情報)
- 意欲や成長意欲を示す質問をする
- ネガティブな質問は避ける(「残業は多いですか?」など)
好印象を与える逆質問の例
■ 業務内容に関する質問
- 「入社後、まず取り組むことになる業務について教えていただけますか?」
- 「一日の業務の流れを具体的に教えていただけますか?」
- 「在宅医療では、どのような患者層が多いのでしょうか?」
■ 成長・キャリアに関する質問
- 「貴社で活躍している薬剤師の方に共通する特徴はありますか?」
- 「入社後のスキルアップのために、どのような研修制度がありますか?」
- 「認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得を支援する制度はありますか?」
■ 職場環境に関する質問
- 「薬剤師同士のコミュニケーションは、どのように取られていますか?」
- 「多職種連携で工夫されていることがあれば教えてください」
- 「チームで業務を進める際に大切にされていることは何でしょうか?」
■ 志望意欲を示す質問
- 「入社までに勉強しておくべきことや、準備しておくべきことはありますか?」
- 「貴社で長く活躍するために必要なスキルや姿勢を教えていただけますか?」
逆質問のNG例
- 「特にありません」(意欲が低いと思われる)
- 「ホームページに書いてあった〇〇について教えてください」(調べればわかる)
- 「有給は取りやすいですか?」(待遇ばかり気にしていると思われる)
面接前日までにやっておくべき準備チェックリスト
面接を成功させるためには、当日の受け答えだけでなく、事前準備が不可欠です。
□ 企業・薬局の情報を徹底的に調べる
- 公式サイト、理念、事業内容、店舗の特徴
- 求人票の内容を再確認
- 口コミサイトで職場の雰囲気をチェック(ただし鵜呑みにしない)
□ 想定質問への回答を準備し、声に出して練習する
- 自己紹介、志望動機、転職理由は必ず練習
- 友人や家族に面接官役をやってもらうのも効果的
□ 逆質問を3〜5つ用意する
- 当日の面接内容で疑問が解消されることもあるため、複数用意しておく
□ 持ち物を確認する
- 履歴書・職務経�歴書のコピー
- 筆記用具、メモ帳
- 薬剤師免許証のコピー
- 印鑑(念のため)
□ 服装・身だしなみをチェック
- スーツ(紺、黒、グレーなど落ち着いた色)
- 清潔感のある髪型
- 爪を短く整える
- 派手なアクセサリーは避ける
□ 当日の移動ルートを確認
- 10分前には到着できるよう、余裕を持った計画を立てる
- 遅刻しそうな場合は、必ず事前に連絡する
まとめ:準備と練習で、面接の不安は解消できる
薬剤師の転職面接では、「なぜこの職場を選んだのか」「あなたはどんな薬剤師なのか」という2つの軸が常に問われます。
面接官が知りたいのは、あなたの過去の経験と、未来への意欲です。そしてそれを具体的なエピソードで語れるかどうかが、合否を分けるポイントになります。
今日からできること:
- この記事で紹介した10の質問への回答を、自分の言葉で書き出してみる
- 声に出して練習し、スムーズに話せるようにする
- 応募先の情報を徹底的に調べ、志望動機を深掘りする
- 逆質問を3つ以上用意し、意欲をアピールする準備をする
準備を重ねることで、面接への不安は自信に変わります。あなたの薬剤師としてのキャリアが、次のステージで大きく飛躍することを心から応援しています。
自信を持って、面接に臨んでください。あなたならきっと大丈夫です。
無事に内定が出た後、今の職場をトラブルなく辞めるための手順や伝え方については、以下の記事で詳しく解説しています。



コメント